雛人形の種類について(製法・様式・飾り方)

雛人形の種類を詳しく知っておこう!

雛人形の種類

 

当サイトをご覧頂いている皆さんは「桃の節供に飾る雛人形」といえば、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?

 

人形に豪華な衣装を着せ付けた雛人形ですか?

 

それとも人形のボディに裂地を貼り付けたタイプの雛人形ですか?

 

また飾り方は男雛と女雛の二体の人形を並べたものでしょうか?

 

ガラスやアクリルのケースに入ったタイプでしょうか?

 

あるいはたくさんの人形を並べた大きな七段飾りでしょうか?

 

このように「雛人形」には人それぞれのイメージがあると思います。

 

つまり、このイメージの数だけ様式、形式、種類があるということです。

 

そこで、ここでは雛人形にはどんなタイプがあるのかをまとめてみました。

 

 

 

製法の違いによる分類

 

製法による違いとしては木目込み(きめこみ)雛人形と衣裳着(いしょうぎ)雛人形の2タイプに分けることができます。

 

木目込み雛人形とは木製の胴体に溝を彫り、そこに布地を埋め込んで衣装を着せた人形のことです。

 

一般的に木目込み雛人形はサイズの小さなものが多く、目を筆で書いたやさしいお顔が特徴です。

 

一方、衣裳着雛人形とはその名前が示すように衣装を着せ付けた人形のことで、多くの方がイメージする雛人形はこの衣裳着雛人形にあたります。

 

細面で大人びた顔立ちをしている衣裳着雛人形は、何と言っても繊細に作りこんだ豪華な衣装が最大の特徴です。

 

 

様式の違いによる分類

 

雛人形を様式の違いで分けると「座り雛」と「立ち雛」の2種類に分けることができます。

 

「座り雛」とは文字通り座っているお雛様のことで、一般的な雛人形といえばこの「座り雛」をイメージする方が圧倒的に多いでしょう。

 

座り雛

 

一方の「立ち雛」も読んで字のごとく立っている姿の雛人形のことです。

 

立雛

 

現在では「座り雛」が主流になっているため、「立雛」を新しいタイプの雛人形と思っている人も少なくないようですね。

 

ちなみに人形店で展示されているお雛様はご存知のとおり、ほとんどが座り雛。

 

そして、お店の一画にほんの少しだけ立雛が飾ってあるという感じです。

 

節句人形専門店であっても立雛の取り扱い数は座り雛の比較にならないほど少ないですね。

 

そんなこともあり座り雛が古くから伝わるタイプの雛人形で、立雛が最近流行している新しいタイプの雛人形と思われているのかもしれません。

 

しかし実際は全く逆で、新しいタイプと思われている立雛の方が歴史は古く、紙や土で作った立ち姿の人形(ひとがた)がルーツとなっています。

 

なお「立ち雛」と「座り雛」のどちらを購入したほうがいいの?と迷われている方もいるようですが、どちらを選んでも結構です。

 

単に立っているか座っているかの違いだけですので、自分の好みで選べば良いと思います。

 

 

飾り方の違いによる分類

 

雛人形は自宅の飾り場所に適したサイズを選ぶのが基本ですが、飾るスペースが決まれば自ずと選ぶべき雛飾りも絞られてきます。

 

つまり比較的広いスペースを用意できるのであれば大きめの段飾りを購入しても問題ないと思いますし、飾るスペースが狭いという場合はコンパクトに飾れる平飾りやケース飾り、収納飾りを選ぶことになるでしょう。

 

というわけで雛人形を選ぶ上で雛飾りにはどんなタイプがあるのかを事前に知っておくことはとても大切です。

 

何しろ雛人形選びのスタート地点ですからね。

 

まず最初にどのタイプの雛飾りを購入するかをしっかり絞り込めれば意外と雛人形選びはスムーズに進みます。

 

逆に「飾るスペースが限られているから平飾りか収納飾りにしようかな。でも、ちょっと無理すれば段飾りが飾れるかもしれない・・・。」なんて言っているといつまでたっても決められない恐れがあります。

 

なので、雛人形選びを始める際(下見に行くとき)には飾る場所と飾り方のスタイルを良く考えて、設置スペースと好みに応じた雛人形に絞り込んでみてください。

 

平飾り

平飾りとは段がないタイプの飾りのことで、そのほとんどが男雛と女雛を並べた親王飾りとなっています。

 

親王飾り(衣装着人形)

 

一般的には平らな台の上にお雛様、屏風、雪洞、お花、前飾りをセットするもので、二人飾りでありながらも伝統と気品を感じさせます。

 

人形のサイズによっては非常に大きな平飾りも存在しますが、標準サイズとして販売されている平飾りは比較的コンパクトなものが多く置き場所も選びません。

 

親王飾りの相場

 

 

収納飾り

高級感のある飾り台がそのまま収納箱になる収納飾りは、最近特に人気を集めているスタイルです。

 

収納飾り

 

多くの収納飾りはコンパクトな設計になっているため、飾るスペースが最小限におさまります。

 

収納飾りのメリットは飾り付けと片付けの手間が少ないこと。

 

また、人形やお道具などをまとめて収納箱にしまっておけるので小物類の紛失も防げます。

 

ちなみにコンパクトで出し入れしやすい飾りといえば他にもケース飾りがありますが、我が子に雛人形やお道具などの飾り付けも楽しませてあげたいとお考えの方にはこの収納飾りがおすすめです。

 

収納飾りの相場

 

 

ケース飾り

ケース飾りとは透明なガラスやアクリルのケースに雛人形、お道具、お花、雪洞などがセットされているものです。

 

ケース飾り

 

一般的なケース飾りは人形やお道具類が固定されているため、小物を飾り付けたりひとつひとつ片付ける手間もありません。

 

またケースに囲われているので埃や汚れが付きにくく、ペットのいるご家庭でも安心して飾ることができます。

 

毎年お節句の時期が近づいてきたら箱から出して、お節句が終わったらまた箱にしまうだけなので最も取り扱いが簡単な雛飾りと言えるでしょう。

 

ケース飾りの相場

 

 

三段飾り

三段飾りは最上段にお殿様とお姫様、二段目に三人官女、そして三段目にお道具を飾るスタイルです。

 

三段飾り

 

中には三段目に五人囃子を並べて十人の人形を飾る変則的なものもありますが、一般的には親王と官女を並べた五人飾りが主流となっています。

 

ちなみに段飾りといえば以前は大きな七段飾りが主流でした。

 

しかし昨今では現代の住居スペースに合わせやすく華やかに飾れる三段飾りのほうが人気を集めています。

 

三段飾りの相場

 

 

七段飾り

七段飾りは昔も今も幼い女の子なら誰もが憧れる雛人形の王道スタイル。

 

親王、三人官女、五人囃子、隋臣(左大臣・右大臣)、仕丁の十五人が勢揃いした七段飾りは正に雛飾りの集大成です。

 

七段飾り

 

七段飾りといえば以前は緋毛氈(赤い布)を敷いた上に人形を並べた飾り方が定番でしたが、最近は高級感溢れる木製段も一般化しつつあります。

 

なお現代の住環境は昔の日本とは大きく様変わりし、豪華な七段飾りを買う人はだいぶ減ってきているようです。

 

しかし今でも「ひな人形」と聞いて赤い緋毛氈と金屏風のセットに十五人の人形を並べた七段飾りを思い浮かべる方は少なくないと思います。

 

七段飾りの相場

 

 

 

雛人形の下見を行う際、いくつものお店を見て回れば回るほど迷ってしまうものです。

 

そんなときは漠然と見て回るのではなく、どんなタイプの雛人形を購入するか出来るだけ絞り込んでおくと選びやすくなります。

 

「木目込み雛人形にするか、衣裳着雛人形にするか」、「ガラスケース飾りにするか、収納タイプにするか」、「親王飾りにするか、五人飾りにするか」という感じで絞り込んでみると雛人形選びはスムーズになるはずです。